佐古良男さんは談山神社の元禰宜であり、今は歌人として活動されています。

山口県新南陽市(現在の周南市)出身です。

これまでに3作の歌集を発表しており、2018年11月に満を持して4作目の『念彼猫力(ねんぴにゃんこりき)』を発表しました。

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念彼猫力 歌集 [ 佐古良男 ]
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今回の作品はタイトルの通り、猫をテーマにしています。

佐古良男さんはかつて猫を飼っていたそうで、本人曰く「子供のようにかわいがっていた」そうです。

これまでの作品でも猫をテーマにした作品が多く盛り込まれており、ご自身が飼っていた猫をモデルにした作品が多いとのことです。

右脳と左脳を交互に電気ショックで刺激されるような作品

『念彼猫力』は佐古良男さんの猫好きをカミングアウトさせた名作です。

大胆に「猫」にフォーカスを当てた空前絶後の怪作で、日本の和歌史に残る名作になることは間違いありません。

私はこの作品で佐古良男さんの作品を始めて読みましたが、その鬼才ぶりが炸裂しています!

 

ラジカルなオピニオン和歌。

ユーモアあふれるブラックジョーク和歌。

霊魂観を織り交ぜたスピリチュアル和歌。

え?そっち!?みたいなカルト和歌。

 

そうしたタダでさえ一風変わった現代和歌といえる作品に時折、猫が絡んできて…

まぁ、えらいことになってます。

唯一無二の摩訶不思議な世界観。

 

情景的でもなければ、情緒的でもなく、深いメッセージ性の部分が見えてきたかと思えたら、煙に巻かれたり…

3000文字~10000字のボリュームで展開するようなオピニオンを五七五七七に集約したかのような作品もあれば、本人も自分が何をやっているのかわかってないんじゃないか?と思うような、脳みそじゃなく指が勝手に書いたような作品もあります。

 

右脳と左脳を交互に電気ショックで刺激されるような作風…

この人、あたまおかしい。

まさに芸術

「ま、こんなもんだよね」

そんな作品、お金出して買いたくないですよね。

そんな作品なら立ち読みで十分。

 

「なんじゃこりぁ~」

 

やっぱそんな作品こそ、お金出して手元に置いておく価値があります。

『念彼猫力(ねんぴにゃんこりき)』はもう、タイトルの時点で「なにこれ?」ってなりません?

中身もタイトル負けしてないどころか、もう一回裏切られます。

 

この作品はしかめっ面して審査員気取りで揚げ足でもとってやろうみたいな和歌ヲタクにはオススメしません。

もっと純粋に小説を読むかのように、漫画を読むかのように気軽に現代和歌の世界を楽しみたい人向けのエンターテインメント作品といってもいいかもしれません。

予備知識は必要?不必要?

ただ、ひとつ注意点があります。

この作品は非常に知的レベルが高く、人によっては何を言っているのかわからない現象が起きます。

 

伝統的な和歌よりも情報量ははるかに多いです。

ある程度の予備知識必要かもしれませんが、いや、どうでしょう…

 

書いてあることの意味が10%ぐらいしかわからなくても世界観として楽しめる作品というのも世の中にはあります。

何を言ってるかわからないけど、高尚な文章の羅列を楽しむ。

そうした作品を嗜好する人は、どれだけ意味がわからないかに価値を見出します。

 

したがって、予備知識がないと読む資格がないとは一概に言い切れません。

筆者の場合は畑が同じなので、ここに書いてあることの9割は専門用語的な部分も含めて理解できてしまいましたので、そのあたりについては何ともいえませんが…

 

ここで、あなたがこの本に書いてある事を理解できるかどうかのテスト!

  • 猫好き
  • 「シュメール」と聞くとドギマギする
  • 弥勒←この漢字が読めて、何なのかがわかる
  • アテルイ=モレが誰で何をした人か知ってる
  • 法事とかで『観音経』を読経している
  • 普段から神社にもお寺にも行く
  • 大東亜戦争に詳しい

以上の項目のうち、4つ以上当てはまれば、専門用語的な部分も含めて、理解しながら読めるでしょう。

 

ただ、さっきも申し上げた通り、何を言っているのかわからなくても、イメージで読める人はきっと楽しめます。

例えば私が最近読んだ本、落合陽一さんの『デジタルネイチャー:生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂』という作品は異次元過ぎて何を言ってるのか10%も理解できませんでしたが、言葉のイメージで楽しめました。

 

この作品もそんな感じです。

念彼観音力ならぬ念彼猫力

本書のタイトル『念彼猫力(ねんぴにゃんこりき)』の語源は『観音経』に登場する「念彼観音力(ねんぴかんのんりき)」という文言です。

「ねんぴ~かんのんりき~」と「ねんぴ~にゃんこ~りき~」で、語呂があいます。

 

観音経の趣旨は「どんな困難に陥っても心の中で観音さまを念じれば救済の手が差し伸べられる」という事です。

本書タイトルが「猫」に置き換えられているのは、猫の力を観音さまの力と同等のものとみる深い考察によるものです。

 

山口県萩市の猫寺こと雲林寺では、猫たちは観音さまの使いとして大事にされています。

実際に、雲林寺は廃寺寸前の窮地に猫の力を借りて再興されました。

猫はまさしく福を招く神の化身です。

 

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